「医療法人社団 清優会 はなふさ皮膚科」理事長の花房火月医師にインタビュー。
皮膚科では、体のどの部分まで治療を受け付けているのか、皮膚のトラブルが重い病気につながることはあるのかなど、伺いました。
また、重い病気につながってしまうほくろの見極め方、悪性のほくろはどこにできやすいのかなど説明していただきます。
頭から足まで!さまざまなお悩みに対応
Q1.皮膚科では、身体のどの箇所まで起こるトラブルに対応していますか?
クリニックでは、頭から顔、体、手、皮膚、爪、足の先まで、さまざまなトラブルに対応しています。
Q2.皮膚科で対応できないトラブルもあるのでしょうか?
ありますね。まずはメラノーマなどの悪性黒色腫(あくせいこくしょくしゅ)、皮膚がんですね。そういった悪性腫瘍(あくせいしゅよう)が見つかった場合は大きな病院を紹介しています。
また、全身性エリテマトーデス、強皮症といったような膠原(こうげん)病の場合も大学病院に紹介状を送らせていただくことがあります。
そして、蜂窩織炎(ほうかしきえん)という皮膚にばい菌が入ってしまう病気。患者さんの全身状態が悪く、頻繁に発熱を繰り返していて“ふらふら”になっていると入院が必要になりますので、大学病院を紹介させていただきますね。
悪性?良性?危険なほくろの見極め方
Q3.病気につながるほくろかどうか、自分で見分ける基準はありますか?
有名なABCDE基準というものがあります。
Aというのは、アシンメトリー。左右非対称なほくろです。しかしながら、アシンメトリーかどうかを、個人で見極めるのは難しいかと思います。
Bというのはボーダー。悪いほくろは、端の方が不明瞭になっていますね。
Cというのはカラーバリーエーション。黒、褐色、赤っぽい、青っぽいなど、さまざまな色が混ざっている状態です。
Dというのはダイアミター。大きいほくろは怪しいということですね。6mm以上のほくろは一応注意するといいでしょう。
Eというのはエボルヴィング。大きさや形、色が変化していく場合は怪しいということになります。
Q4.赤いほくろのようなものは、病気のサインでしょうか?
多くの場合、チェリースポットという赤い血管腫を指していることが多いと思います。これは、毛細血管が大きくなっている状態の老人性血管腫ですね。鮮明な赤で、“ぽちぽち”とあっても、無害ですね。
また、スピッツ母斑という赤いほくろもあるのですが、ときにメラノーマの発生につながることがあるので注意が必要です。
45%はがんの可能性!?手のひら、足のうらにできるほくろ
Q5.悪性のほくろができやすい場所はありますか?
例えばメラノーマといった悪性なほくろは、手のひら、足の裏にできやすいです。日本人のメラノーマの約45%は手のひら、足の裏にできるという統計があります。
また、基底細胞がんという皮膚がんにつながるほくろは、顔にできやすいんですね。
有棘(ゆうきょく)細胞がんという皮膚がんに関係してくるほくろは、皮膚の露出部である顔や手足といった紫外線を浴びやすいところにできやすいです。
ほかにも、パジェット病という悪性腫瘍に影響してくるほくろは、乳房や陰部、脇にできやすいですね。
Q6.ほくろやシミ、あざなどを取る治療は保険診療で受けられますか?
ほくろが引っかかって困る、視野に入っててこまる、将来的に悪性腫瘍の発生地になりうる、悪性腫瘍との区別が問題になる、といった場合は保険診療になります。
美容目的の場合は保険適用外になりますね。
しみに関しても基本的には病気ではないという解釈なので、すべて自由診療になります。
あざに関しては保険診療になることが多いですよ。
※次の記事「ピアス、足の臭い、タトゥーなど!皮膚科で受けられるさまざまな診療」
監修日:2020年3月5日
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