虫歯の治療費はどれくらい? 銀歯・セラミックによる違いも解説

虫歯の治療費はどれくらい? 銀歯・セラミックによる違いも解説

歯医者さんへの通院を考えるとき、「治療費はどれくらいかかるのかな…?」と悩んだことはありませんか? 虫歯の治療費は、進行度によって大きく変わります。当然、虫歯が軽いほど低い治療費で済み、悪化するほど高くなっていきます。

虫歯の進行度は、「CO」「C1」「C2」「C3」「C4」の5段階で表現します。こちらの記事では、進行度に応じた治療費の目安を解説しています。詰め物・かぶせ物の材質による価格差にも触れています。

※自由診療についての説明が含まれております。また治療料金については、医院によって異なる為、診療予定の医院にお問合せください。

この記事の目次

1.初期虫歯「CO:要観察歯」

1-1 「CO:要観察歯」の治療費

虫歯が疑われる「要観察歯:CO」では、初診料を含めた合計治療費は「¥1,000~¥3,000」ほどです。

治療費の目安1,000~3,000円程度
通院回数の目安1回

1-2 「CO」の治療内容

「CO」の場合、エナメル質に含まれる「リン」「カルシウム」が溶け出していますが、まだ物理的に穴があいているわけではありません。虫歯の一歩手前で、「脱灰」と表現します。

ごく初期の虫歯―「CO」に対しては、次のような治療をおこなうのが普通です。この段階なら、歯を削る必要はありません。

ブラッシング指導

脱灰しているだけなら、日々のケアをきちんと続けるだけで解消する可能性があります。唾液に含まれる「リン」「カルシウム」がエナメル質に戻る「再石灰化」が期待できるからです。

フッ素塗布

エナメル質にフッ素(フッ化物)を塗ると、溶けにくくなります。「CO」の段階で「フッ素塗布」をおこなえば、虫歯の進行を止められる場合があります。予防のためにフッ素塗布をするのは自由診療ですが、「CO」と診断されれば健康保険を適用可能です。

シーラント

奥歯の噛み合わせ面にある溝を「小窩裂溝(しょうかれっこう)」といいます。小窩裂溝は虫歯になりやすい場所なので、「あらかじめ、溝を樹脂で埋めておく治療」が存在します。予防のために実施する「予防充填」は自由診療ですが、「CO」の歯に実施する「早期充填」は保険適用が可能です。(ただし、小中学生くらいまで)

2.初期虫歯「C1:エナメル質う蝕」

2-1 「C1:エナメル質う蝕」の治療費

歯の表面―エナメル質に穴があいた場合、初診料などを含めた治療費総額は「1,000~3,000円」くらいになります。

治療費の目安1,000~3,000円程度
通院回数の目安1回

2-2 「C1」の治療内容

物理的に穴があいている場合、自然な回復は期待できません。エナメル質に穴があいた状態を「C1:エナメル質う蝕」と呼んでいます。まだ痛みはあまりなく、一般には「初期虫歯」と表現することが多いです。

「C1」の虫歯に対しては、基本的に「虫歯になっている部分を削り、コンポジットレジンを詰める処置」がおこなわれます。

コンポジットレジン充填

「C1」以上の虫歯に対しては、「虫歯を削って詰め物を入れる治療」が基本になります。ほとんどの場合、タービン(ドリル)で虫歯を除去し、コンポジットレジン(CR)を充填する流れです。コンポジットレジンは歯科用のプラスチック樹脂で、「小さな虫歯に用いる白色の詰め物」と考えてください。

3.中等度虫歯「C2:象牙質う蝕」

3-1 「C2:象牙質う蝕」の治療費

「C2」の虫歯は、状態によって治療費・通院期間が大きく変わります。虫歯の位置・大きさによって、治療法が異なるからです。

分かりやすく表現するなら、
◆軽度の「C2」⇒コンポジットレジン充填
◆重度の「C2」⇒インレー修復

コンポジットレジン充填で済めば、治療費は「C1」と同じ「1,000~3,000円」くらいです。インレー修復は「詰め物の素材をどうするか」で大きく費用が変わりますが、保険診療だと「3,000~5,000円」程度になります。

3-2 「C2:象牙質う蝕」の治療内容

虫歯が象牙質に達している場合、「C2:象牙質う蝕」と呼びます。「冷たいもの・甘いもの」がしみることがありますが、ズキズキと自発的に痛むことはありません。

さて、前述したように、「C2」では虫歯の状況によって治療法が大きく変わってきます。

コンポジットレジン充填

前歯の場合、奥歯にできた小さい虫歯の場合などは、「C1」と同じように「コンポジットレジン充填」で治療できます。「コンポジットレジン充填」で済むようなら、「C1の治療」とほとんど変わりません。削る分量が、「C1」より少し多い程度です。

治療費の目安1,000~3,000円程度
通院回数の目安1回

インレー修復(保険診療)

虫歯がやや大きい場合、「型をとり、詰め物を入れる治療」が必要です。詰め物の作製は、歯科技工所でおこないます。詰め物の作製期間が必要なので、1回の通院で終わらせることはできません。だいたい2~3回の通院が必要になります。

インレー修復は、インレー(詰め物)の素材によって費用が変わります。まずは、保険診療の目安を提示することにしましょう。保険診療では、一般に銀歯と呼んでいる「12%金銀パラジウム合金」を使用するのが普通です。そこで、保険診療の治療費目安をかかげるにあたっては「12%金銀パラジウム合金」を使用した…と仮定します。

銀歯(12%金銀パラジウム合金)

治療費の目安3,000~5,000円程度
通院回数の目安2~3回

セラミックインレー(自由診療)

銀歯だと見た目が気になる…という場合、自由診療なら「白いインレー」を入れることもできます。「セラミックインレー」などと呼ばれることが多いです。

セラミックインレー

治療費の目安3万円~5万円程度
通院回数の目安2~3回

セラミックインレーは「美容面に優れ、歯科金属アレルギーの不安がない詰め物」です。ただし、歯科金属アレルギーになる人は多くないので、それほど神経になる必要はありません。あくまでも「美容を重視する場合の選択肢」と捉えてください。

4.重度虫歯「C3:歯髄の仮性露出」

4-1 「C3:歯髄の仮性露出」の治療費

「C3」の場合も、虫歯の程度で治療方法が変わります。具体的には「歯冠(歯の本体)をどのくらい保存できるか」で治療方針が変動するのです。

シンプルに表現するなら、
◆軽度の「C3」⇒インレー修復(詰め物)
◆重度の「C3」⇒クラウン修復(かぶせ物)

詰め物・かぶせ物とも「素材による価格差」が大きい治療法です。保険診療なら、インレー修復が「5,000~1万円」程度、クラウン修復が「7,000~1万3,000円」程度になります。

4-2 「C3:歯髄の仮性露出」の治療内容

虫歯が歯髄(神経)に達している場合、「C3:歯髄の仮性露出」と呼びます。ズキズキと痛んで眠れない…など、典型的な虫歯の症状が出てくるのは「C3」です。「C3」まで進行していると、「神経を抜く治療(抜髄)」が必要になります。

神経を抜いた歯の内部は空洞になります。そのままでは内部が再感染するので、根管(神経・血管の通り道)を消毒して、感染防止の薬を詰めなくてはいけません。この処置を「根管治療」と呼んでいます。

根管治療は時間がかかるので、通院回数は歯1本あたり3~5回に達します。奥歯のほうが根管の数が多いので、「前歯・犬歯(1~3番)<小臼歯(4~5番)<大臼歯(6~8番)」の順に通院回数が多くなっていく傾向です。当然、通院回数が増えれば「再診料を支払う回数」が増えますし、処置の回数も増えます。結果、治療費の総額にも多少の差が出てきます。

最終的な修復方法は、虫歯の大きさによって変わります。小さい虫歯なら「詰め物」、大きな虫歯なら「かぶせ物」による修復をおこないます。

インレー修復(保険or自由診療)

詰め物の場合、治療後の見た目は「C2(深い虫歯)」を治療したときと変わりません。しかし、抜髄(神経を抜く処置)をするぶん、治療費は少し高くなります。また、大臼歯(6~8番)は根管治療の回数が増え、銀歯の値段も600円ほど高くなるので、ほかの歯に比べて1,000~2,000円ほど高くなる傾向です。

銀歯(12%金銀パラジウム合金)

治療費の目安5,000~1万円程度
通院回数の目安3~5回

セラミックインレー

治療費の目安3万円~5万円程度
通院回数の目安3~5回

クラウン修復(保険診療)

虫歯が大きければ、歯全体を覆う「クラウン(かぶせ物)」を適用します。抜髄・根管治療のあと、支台を立てて、クラウンをかぶせます。まずは、保険内のクラウン修復を解説します。

◆銀歯(12%金銀パラジウム合金)
保険診療の基本は銀歯ですが、クラウン修復の場合、銀歯を多用するのは大臼歯(6~8番)だけです。ほぼ全体を覆うクラウンの場合、前歯・犬歯(1~3番)に銀歯を装着すると外見的な問題が出てきます。大きく口を開ければ見えてしまう小臼歯(4~5番)も同じでしょう。そのため、銀歯の治療費目安は「大臼歯(6~8番)の場合」を想定しています。

銀歯(12%金銀パラジウム合金)

治療費の目安1万~1万3,000円程度
通院回数の目安3~5回

クラウン修復の場合、保険診療でも「白いかぶせ物」を使用することが可能です。保険適用で使える「白いかぶせ物」には、「硬質レジンジャケット冠」「硬質レジン前装冠」「CAD/CAM冠」がありますが、「硬質レジンジャケット冠」は耐久性の面からあまり使われなくなりました。そこで、「硬質レジン前装冠」と「CAD/CAM冠」の二つを紹介することにしましょう。

◆硬質レジン前装冠
前歯・犬歯に使用する場合に限り、保険適用できるクラウンです。本体は「12%金銀パラジウム合金」ですが、正面から見える部分には「硬質レジン(プラスチック樹脂)」を使っています。正面からは白く見える…ということです。

硬質レジン前装冠

治療費の目安1万~1万3,000円程度
通院回数の目安3~4回

硬質レジン前装冠のかぶせ物自体は、保険診療としては高い部類です。しかし、適用が前歯・犬歯なので、自由診療になる奥歯より根管治療の費用をおさえることが出来ます。前歯・犬歯は根管の本数が少ない(単根管)だからです。そのため、治療費の総額は奥歯に銀歯のクラウンを入れる場合とあまり変わりません。

◆CAD/CAM冠
小臼歯の場合だけ、保険適用できるクラウンです。「CAD/CAMシステム」で作製する「ハイブリッドレジン(セラミックとレジンの混合物)」のクラウンになります。ちなみに「CAD/CAMシステム」は、コンピューターで歯型をスキャンし、3Dプリンターの要領でクラウンを作製する装置です。

CAD/CAM冠

治療費の目安1万~1万5,000円程度
通院回数の目安3~5回

セラミッククラウン(自由診療)

天然の歯とあまり変わらない外見を望む場合は、自由診療で「セラミッククラウン」を選択することも可能です。治療費は高くなりますが、本物の歯とほとんど見分けがつかないクラウンを手に入れることができます。

セラミッククラウン
治療費の目安5万~10万円程度
通院回数の目安3~5回

セラミッククラウンにも、比較的コストをおさえられる「ハイブリッドセラミック」から、美容面に優れる「ジルコニアセラミック」まで、いくつかのバリエーションが存在します。費用と外見のバランスを考えながら、ニーズに合ったものを選択してください。

5.末期虫歯「C4:残根」

5-1 「C4:残根」の治療費

「C4」まで進行した虫歯の場合、抜歯の可能性が高まります。抜歯する場合、初診料・検査料などを含めた(抜歯までの)治療費は「2,000~4,000円」程度になるのが普通です。入れ歯などで失った歯を補うには、別に費用がかかります。

5-2 「C4:残根」の治療費

歯髄(神経)が死んでしまい、もはや痛みも感じなくなった虫歯を「C4:残根」と呼びます。すでに歯の内部が虫歯菌の巣窟になっており、歯を保存するのは困難です。歯髄が死んだばかりなら根管治療で助けられる場合もありますが、たいていは抜歯になります。

抜歯

保存できないほど悪化した虫歯は、抜歯対象になります。放っておくと、周囲の歯にも悪影響を与えるからです。抜歯した上で、「入れ歯」「ブリッジ」「インプラント」などの方法で補綴(ほてつ:失った歯を補う治療)するしかありません。

治療費の目安2,000~4,000円程度
通院回数の目安2~3回

上記は、あくまでも抜歯の処置にかかる費用です。補綴(ほてつ)にかかる費用は、「どのような方法を選択するか」で大きく変わってきます。

6.まとめ

虫歯の治療費用は、進行度によって大きく違います。初期虫歯のうちに受診すれば、治療費は3,000円以内で済むことが多いです。通院回数も1回で済みますから、時間的負担もほとんどありません。治療の負担を抑えたいなら、やはり、初期虫歯のうちに対応することが大切です。

また、詰め物・かぶせ物治療をする場合、「保険診療か、自由診療か」も治療費を左右します。保険適用可能な条件が限られている場合もあるため、自分のケースで受けられるのはどのような治療か主治医の先生とよく相談しましょう。「経済的負担と美容面のバランス」を考え、納得いく治療を受けるようにしてください。「CAD/CAMシステム」を設置してある歯医者さんであれば、セラミックのかぶせ物を1日で作製することが可能です。

施術副作用

執筆者:歯科こえ 編集部

歯科こえでは、お口のトラブルをサポートする情報を掲載しています。読者の方々が抱える悩みや症状、その原因を解説し、治療方法なども記載しています。また、歯科こえコラムの全記事を歯科医師が監修しています。

監修医 貝塚浩二先生

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コージ歯科

院長:貝塚 浩二

住所:東京都葛飾区お花茶屋2-5-16
貝塚 浩二先生
虫歯の治療費はどれくらい? 銀歯・セラミックによる違いも解説 2022-03-10T09:41:47+09:00
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