もしかして虫歯?痛みの対処法と虫歯の基礎知識

虫歯の痛みはいつも突然襲って来ます。そして痛みに気づいた時は、その虫歯は残念ながらかなり進行しているのです。進行してしまった虫歯は、虫歯部分を削り取り、削り取った部分は金属やセラミックなどで補う必要があります。

しかし、それを繰り返していくと、いつかは歯を失うことになります。なぜなら歯の治療は、後戻りができない治療であり、積極的に治療をすればするほど自分の歯を失うことになるからです。

そうならないためには、初期の虫歯のうちに治療すること、日頃から虫歯にならないようにケアをしっかりと行っていくことが大切です。

この記事の目次

1.歯が痛い!痛みをどう和らげる?

急な歯の痛みは本当につらいものです。歯医者さんへ行くしか仕方がないとしても、休日や夜間などではかかりつけの歯医者さんが診療を行っていない場合もあります。以下に応急処置の方法についてご紹介します。

1-1 歯を冷やす

まずは痛みのある患部を冷やすことで、血の巡りを遮りましょう。血行が良いと痛みが強くなることから、血の巡りを良くするスポーツや入浴、アルコール類は避けなければなりません。冷やしている間に以下の対応を考えます。

1-2 痛み止めを服用する

数ある痛みの中でもおそらく群を抜く歯の痛み。なるべく早く効き、鎮痛効果の高いものを服用したいと誰もが思うことでしょう。痛み止めは応急処置にしかなりませんが、服用することで当座をしのぎ、診察を待つことができます。

では、歯痛の時によく効く鎮痛剤とはどんなものでしょうか。ここでは、広く一般的によく効く鎮痛剤として知られている「ロキソニン」について、まとめました。

1-3 鎮痛剤の王者?ロキソニンとは

ロキソニンは、正式にはロキソプロフェンと呼ばれ、非ステロイド系の解熱鎮痛消炎剤として広く知られています。鎮痛効果が同様の薬の中では高く、胃痛など副作用が出にくいように製造工程に工夫がされています。

これまでロキソニンを手に入れるためには医師から処方を受ける必要がありましたが、2011年に「ロキソニンS」として市販薬で購入できるようになってから、さらにその認知度が高まりました。

ちなみに市販薬である「ロキソニンS」は医師から処方を受ける「ロキソニン錠60mg」と薬剤としての容量は同じになります。ただ処方薬か否かで謳うことのできる効果効能には多少違いがありますが、どちらも鎮痛効果はほぼ変わりません。

ロキソニンの効き始める時間は?

ロキソニンが効き始める時間は人により個人差がありますが、一般的には30分から1時間程度と考えた方が良いでしょう。早い人であれば15分程度で効き始める人がいるようです。そうした効き始めが早いことも、鎮痛剤としてのロキ
ソニン人気に拍車がかかった理由かもしれません。

ロキソニンの持続時間は?

一般的に医師からロキソニンなどの解熱剤を処方される時、「一日多くても3回までにして下さい」などと言われる場合が多いと思います。また、痛みが強いと考えられる場合は、一回あたり2錠飲むように言われるケースもあります。

基本的にはロキソニンを含む痛み止めの効果は5時間から7時間程度あり、医師から処方された場合は、服用間隔を必ず4時間以上空けるように言われます。

子供でも飲める?

ロキソニンは市販薬も含めて15歳以上から服用することができます。そのため15歳未満の子供は飲むことができません。子供でも飲むことができる鎮痛剤は、小児用バファリンなどが広く知られています。よく用法・用量を守り与えるようにしましょう。

1-4 休日診療・夜間診療を行っている歯医者さんを探す

歯を冷やし、痛み止めを服用しても痛みがますます強くなる場合は、なるべく早く歯医者さんにかかるしかありません。しかし、休日だったり夜間だったりした場合、歯医者さんが開く時間まで間が空く場合があります。そんな時はどうしたら良いのでしょうか。

地域の夜間・休日救急センターを活用する

それぞれの地域には、土日に急患対応している医院や救急センターが定められています。多くの場合、その地区の公式ホームページに情報があるので確認してみましょう。しかし救急センターの歯科医師は基本的に持ち回り制であり、あくまでも救急対応しかできません。

休日や夜間に対応している一般の歯科医院へ行く

最近では、休日や夜間に対応している歯医者さんが多く見受けられるようになりました。全国的にはまだ数は少ないと言えますが、住民が多く住む地域の中には幅広い診療時間で急患にも対応してくれる医院もあります。

https://haisha-yoyaku.jp/

上記リンクのサイトの左の検索項目から、例えば「日曜診療」「夜中21時~」など選び検索をすることができます。自宅からそれほど遠くなく通えるようであれば、ぜひ利用してみるのもおすすめです。

2.もしかして虫歯? 虫歯の進行度と見分け方

一口に虫歯といっても、その進行度はさまざまで、清潔にしていれば削るなどの治療をする必要のないものもあります。下記の図は虫歯の進行度と見分け方を表しています。

2-1 C0 初期の虫歯 

エナメル質で覆われた歯の表面が白く溶け出し、一部が濁って見えている状態。

歯はエナメル質で覆われています。白くて美しい歯はエナメル質があってこそ。このエナメル質が傷ついてしまうと、歯はくすんで見えてしまうのです。しかしそうして痛んだエナメル質も、このステージならまだ修復可能です。食事をすることで酸性に傾き、エナメル質のミネラルが溶け出す「脱灰」という状態になっても、食事の時間を決め、こまめに歯磨きを行って口の中の汚れを取り除くと、脱灰は虫歯へと進行せず、再石灰化されます。

この状態においては削るなどの積極的な治療は必要としません。歯医者さんへ行き、歯石を除去するスケーリングやフッ素塗布などを行ってもらいましょう。

2-2 C1 エナメル質が溶けて歯に小さな穴が開いた状態→図表①

エナメル質が溶け、人によっては歯の黒ずみが見られます。小さな穴ぼこができた状態ですが、虫歯による痛みも、治療による痛みもありません。

ここまで来ると歯は再石灰化にて自然に修復することはないので、歯医者さんで治療をしなければなりません。ただ型どりをする必要はなく、レジンと呼ばれるプラスチックを詰める必要があります。

2-3 C2 エナメル質の奥の象牙質まで虫歯が及び、歯に穴があいた状態→図表②

冷たいものや温かいものも染みます。C1よりもしっかりと虫歯部分を削り取り、インレーと呼ばれる補填物を作る必要があります。

気をつけたいポイント!

補填物は保険診療か自由診療によってもその素材や強度・適合の良さは変わります。かかりつけの歯医者さんとよく相談の上自分の希望に合ったものを選びましょう。

2-4 C3 虫歯が神経まで進行→図表③

ズキズキとした痛みを感じる場合、「歯髄炎」という神経が炎症を起こしていることが考えられます。神経まで進行した虫歯では、神経を抜き(抜髄)、歯の根っこの治療(根管治療)を行います。根管内をきれいに洗浄したのち、被せもの(クラウン)をします。

気をつけたいポイント!

歯の根っこは非常に細く見えにくいため、根管治療はとても難しい治療です。根管治療が上手くいくかどうかは、その後の治療の成否の分かれ目となるといっても過言ではありません。根管内を丁寧に洗浄できるかどうかは、歯科医の技術次第となります。また、根が細く複雑な人であればあるほど、根管治療の難易度は増します。

2-5 C4 虫歯によりすでに神経が死んでいる状態→図表④

根の部分も虫歯が侵しているため、歯を保存することは難しいといえます。そうなってしまえば、抜歯をするしか方法はありません。次の選択肢としては、ブリッジや入れ歯、インプラントがあります。それぞれメリット・デメリットがあるため歯科医とよく相談して決めるが大切です。

気をつけたいポイント!

歯科医はその守備範囲がとても広いため、それぞれに得意とする治療が異なる場合があります。入れ歯が得意な医師、インプラントが得意な医師とさまざまです。

特にインプラントは非常に専門性が高く、高額な治療となるため、選択肢に入れるつもりがあるなら任せたい歯科医院を前もってよく見極める必要があります。

3.間違えやすい!虫歯と知覚過敏

虫歯と知覚過敏はその痛みから間違える人も少なくないようです。では知覚過敏とはどのようなものでしょうか?

3-1 知覚過敏とは?

冷たいものや酸っぱいものを食べた時、歯が染みるような感覚を感じたことはありませんか? 通常その痛みはすぐに治まりますが、虫歯と勘違いして歯医者にかかったけれども虫歯ではなかった、という経験をお持ちの方もいるかもしれません。

知覚過敏とは、歯をコーティングしているはずのエナメル質が剥がれ落ちることで象牙質がむき出しになってしまうことで痛みを感じる症状を指します。

しかし、エナメル質が剥がれるだけで痛みを感じるわけではありません。剥がれる場所が問題なのです。歯肉に近い部分のエナメル質が剥がれたり、歯周病などによって歯肉が下がったりすることで象牙質がむき出しになり、痛みを感じることがあります。

3-2 知覚過敏と虫歯の見分け方

通常、知覚過敏であれば、痛みが長く続くことはありません。ですから食事をしている時もそうでない時も痛みがあるなら、それは知覚過敏ではなく虫歯の可能性があるかもしれません。歯の表面に穴があったり、着色がある場合も知覚過敏でなく虫歯の可能性が高いといえます。どちらにしても素人判断は危険なので、痛みを感じたらすぐに歯医者さんにかかりましょう。

4.まとめ

虫歯の痛みと対処法、虫歯の基礎知識についてご紹介してきましたが、歯科治療においては予防に勝る治療はありません。毎日使う、生活にとってなくてはならない歯を大切に使うことは、よりよく生きるためにもとても重要になってきます。

そのためには、日頃のケアを欠かさないのはもちろん、痛みが出る前から三ヶ月~半年ごとに定期的に歯医者さんでケアすることが、生涯自分の歯で生活できるのか、多くの歯を失ってしまうかの大きな分岐点となります。

定期的なメンテナンスをしっかり行い、末永く自分の歯で楽しく食事ができるようにしましょう。

執筆者:歯科こえ 編集部

歯科こえでは、お口のトラブルをサポートする情報を掲載しています。読者の方々が抱える悩みや症状、その原因を解説し、治療方法なども記載しています。また、歯科こえコラムの全記事を歯科医師が監修しています。