研磨剤が歯に与える影響とは?研磨剤なしの歯磨き粉を紹介!
子どもの小さくてきれいな白い歯。歯磨き粉を使って歯磨きをするようになった今、その大事な歯を研磨剤で傷めてはいないかと心配になりませんか?
海外では、歯磨き粉が与える影響から、子どもの歯磨きの際に歯磨き粉の使用を禁止しているところもあり、歯磨き粉自体の安全性に疑念を抱くこともあります。
歯磨き粉に含まれている研磨剤にはどのような特性があり、また、子どもの歯にどのような影響を与えるのか?
研磨剤とむし歯との関係性、研磨剤なしの歯磨き粉などについて詳しく説明していきたいと思います。心配することなく歯磨きをするためにも、ぜひ読んでみてください。
この記事の目次
1.研磨剤の歯磨き粉は歯にいいのか?
歯磨き粉の多くに含まれる成分のひとつ「研磨剤」は、歯の表面にあるエナメル質の汚れや着色を落とす働きがあります。古くから一般的に使われている成分ですが、イメージアップのため清掃剤と表示しているものもあります。
たしかに、白くて美しい歯には誰もが憧れ、そうなりたいと願うもの。そのために研磨剤の歯磨き粉を使って歯を磨くのですが、研磨剤と聞くと、材質の表面を磨くヤスリをイメージし、歯の表面が少しずつ削られていくような想像をしてしまいませんか?
はたして、歯の表面を傷つけるような研磨剤の歯磨き粉は歯にいいのか?ここでは研磨剤について考察してみます。
1−1 研磨剤とは?
歯の表面にあるエナメル質の部分に付着した汚れや着色を落とすことを目的とした、歯磨き粉には昔からよく使われている成分のことです。
歯磨き粉のパッケージにある成分表示を見ると「研磨剤」あるいは「清掃剤」と明記してあります。歯磨き粉の種類によってもまちまちですが、主なものとして「歯磨用リン酸水素ナトリウム」「炭酸カルシウム」「重層炭酸カルシウム」などがあげられます。
1−2 研磨剤のメリット・デメリット
研磨剤のメリットは、歯ブラシで磨くだけでは落としきれない汚れを取り除き、歯の表面の着色などを薄く削り去るので、歯が白くなったかのように見えることです。
よく耳にするステインという歯に付いた汚れをはじめとし、タバコのヤニを取る研磨剤の歯磨き粉は昔から販売されてきました。特にタバコのヤニは直接歯に着いてしまう頑固な汚れの代表ですが、これを落とすことができる研磨剤とは、どれだけ強力か想像できますよね。
逆にデメリットとして、その強力な研磨力ゆえに歯の表面のエナメル質部分を削り、かえって汚れがつきやすい状態にしてしまうので、むし歯や知覚過敏の原因になり得ることがあげられます。
1−3 研磨剤が子どもの歯に与える影響
子どもの歯の質は、やわらかくてデリケート。それゆえに硬いタイプの研磨剤が入った歯磨き粉で磨くと、歯の表面だけではなく、歯茎まで傷めてしまうかもしれません。
また、口の中を上手にゆすぐことができないと、研磨剤を飲み込んでしまうことにもなります。
もちろん、通常使う量であれば飲み込んでも問題ないとされていますが、次から飲み込まないように使い方を教えてあげることが大切となります。
2.大人向け研磨剤なしの歯磨き粉
研磨剤配合の歯磨き粉に対して抵抗のある人でも使いやすい「研磨剤なしの歯磨き粉」が歯科医院や薬局、ドラッグストアなどで販売されています。
歯を傷つける心配がありませんし、おだやかな使い心地なので、歯茎や口の中に炎症があっても使いやすいのが特徴。
自らのブラッシングで歯の美しさを保ちたい人や、歯本来の持つ輝きを維持したい人、歯茎をはじめ、口腔内の健康を考える人など、研磨剤に頼らない歯磨きをしたい人それぞれの目的に合わせた研磨剤なしの歯磨き粉が数多くあります。
その中からいくつか歯磨き粉をご紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。
2−1 汚れを「削って落とす」でなく「吸着して落とす」歯磨き粉
薬用ハイドロキシアパタイトという成分には、汚れを吸着して落とす作用があります。さらに、フッ素を使わずに初期のむし歯を再石灰化する働きもあります。
またそれだけでなく、歯の表面の細かい傷を修復するので、歯が本来持っていた輝きを取り戻し、白い美しい歯へと近づけてくれる、とても嬉しい商品が開発され販売されています。
2−2 研磨剤と発泡剤なしのジェルタイプ歯磨き粉
研磨剤と発泡剤を含んでいないジェルタイプの歯磨き剤は、通常の歯磨き粉と同じく歯ブラシに取って歯磨きに使用できますし、フッ素コート剤としても使えるところが大きな特徴です。泡が立たないのでじっくりとブラッシングしたい人におすすめしたい商品です。
2−3 化学物質に配慮した歯磨き粉
合成界面活性剤やサッカリン、防腐剤などの化学物質を使用しておらず、矯味剤や甘味料の品質も配慮されている、研磨剤なしの歯磨き粉があります。
泡立ちが少ないのでしっかりとブラッシングができ、歯磨きをした直後に物を食べても味が変わらないのが良い点です。
心置きなく口に入れられるものを選びたい人におすすめできる商品となっています。
2−4 歯周病予防もしたい人向けの歯磨き粉
歯周病が気になる人におすすめの、歯槽膿漏を防ぐ天然植物の成分を5種類配合した研磨剤なしの歯磨き粉があります。
甘草由来成分のβ-グリチルレチン酸が炎症を抑える働きをし、ヒノキチオールによる殺菌作用で、口腔内を清潔に保ちます。
3.子ども用研磨剤なしの歯磨き粉
せっかく生えてきた大事な歯を、やさしく守っていきたいという思いから、子どものための歯磨き粉として「研磨剤なしの歯磨き粉」を選ぶ人が多いようです。
ひとりで磨けるお子さんや、仕上げ磨きに使いたいお母さんなど、用途はいろいろですが、デリケートな子どもの歯を守るために使いたい研磨剤なしの歯磨き粉。
歯や歯茎を傷つけないのはもちろんですが、口に入れても問題ないもので作られていることを基準にする人にもおすすめできる、研磨剤なしの歯磨き粉をご紹介します。
3−1 研磨剤なし
歯の生えはじめから10代以降の幅広い世代で使える研磨剤なしの歯磨き粉。1歳~6歳くらいまではバナナフレーバーのものを使うなど、年齢によってフレーバーを変えている面白い商品もあります。
フッ素滞留性が高まり、ソフトジェルが口の中のすみずみまでフッ素を広げてくれるのも虫歯予防に嬉しいですね。
3−2 低研磨
低研磨の歯磨き粉でフッ素とキシリトール配合されている商品があります。虫歯を予防もできますし、ペースト自体に色付けしている商品は、お子様の歯磨きが楽しくなります。
フレーバーも子どもが好む香味がいくつかあり、パッケージも子供が喜ぶように工夫されている商品も多いです。
3−3 ハイドロキシアパタイト配合
原則、歯科医院用の商品ですが、ネットショップで購入可能な商品です。ナノ粒子レベルのハイドロキシアパタイトを多く配合しています。
エナメル質を修復し、丈夫な歯にしてくれるのがうれしいです。香味もお子様が喜ぶ、さわやかなマスカット味があります。
4.まとめ
研磨剤の歯磨き粉は、歯を白くきれいに見せてくれる半面、歯の表面を傷つけている心配があります。
研磨剤なしの歯磨き粉を使い、丁寧なブラッシングを心がけることで、デリケートな子どものお口の中の健康を目指すことは十分可能です。
研磨剤なしの歯磨き粉は汚れを落とす力が弱いので、着色汚れが気になった時には研磨剤の歯磨き粉を使ったり、歯科医院でホワイトニングをしたりと、ご自分に合った使い分けをしてみてください。
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