実は深い関係があった!虫歯で引き起こされる頭痛の種類

虫歯と頭痛は何の関係もないように見えますが、実は深い関係があります。実は虫歯が原因となって引き起こされる頭痛があるので、頭痛にだけ対処していたのでは根本的な解決にならないケースがあるのです。

いったいどんな頭痛があるのか、どんな治療を受ければよいのかを知っておき、早期に虫歯と頭痛に対処できるようにしておくと良いでしょう。また、虫歯と頭痛を悪化させないために、症状が出たらやってはいけないことも学んでおきましょう。

この記事の目次

1.虫歯→上顎洞炎による頭痛

虫歯になると、上顎洞炎という症状が起こるケースがあります。聞き慣れない病気ですが、この病気になると頭痛が起こるので要注意です。

この症状が出る原因は、上の奥歯は鼻と非常に近い位置にあるため、上の奥歯に虫歯ができて根に達するほどひどくなり、上顎洞(副鼻腔)に菌が入り込んでしまい、頭が痛くなったり副鼻腔炎を起こしたりすることにつながります。この状態になると、根の治療を含む虫歯治療を行うほかに、副鼻腔の治療も行わなければなりません。

1-1 虫歯から上顎洞炎になるメカニズム

上顎洞(副鼻腔)に細菌が感染すると膿みが溜まり、痛みを伴います。細菌が入る経路は二つで、上顎洞(副鼻腔)に近い上の奥歯と鼻です。歯が原因の上顎洞炎は全体の2割程度です。

1-2 上顎洞炎 になったら、しなければならないこと

上顎洞炎は虫歯治療が途中放棄されていて、治りきらない箇所から細菌が入り込むケースが多いようです。治療途中の歯があればきちんと最後まで治療し、それと同時に抗生物質を投与して感染拡大と痛みをおさえます。

1-3 上顎洞炎 になったら、してはいけないこと

原因を放置してはいけません。痛みの原因となっている歯を特定し、CTなどで状態を確認します。虫歯だけでなく歯周病が進行しているケースもあります。深い虫歯ですから、根管治療などを行い歯の根をきれいにします。場合によっては歯を抜くこともあります。

2.虫歯→緊張型頭痛による頭痛

緊張型頭痛は、日本人に多い病気です。ストレスが起因となる頭痛で、同時に肩や首の凝りも併発することが多いようです。重症になるとめまいや吐き気を催すこともあります。

身体的、精神的ストレスともに頭痛の原因になります。虫歯から緊張型頭痛が起こってしまうのも、虫歯があることで無意識のうちに悪い食べ方が習慣になってしまい、それが体のほかの部位に影響を及ぼすからです。自分の悪い習慣について自覚を持つことが大事です。

2-1 虫歯から緊張型頭痛になるメカニズム

緊張型頭痛の痛みは、ズキズキする痛みというよりは鈍い痛みです。激しい痛みではありませんが、毎日数時間繰り返して起こる場合や、何日間もずっと続く場合があります。

身体的ストレスが原因になる場合は、たとえば長時間パソコン仕事で同じ姿勢を取り続けている場合などが典型です。精神的ストレスの場合とは、仕事にずっと追われていたり、大事な会議の前に極度に緊張したりしていることがあげられます。

虫歯が直接の原因になる場合としては、虫歯がある部分を避けて食事をするために片噛みが習慣になってしまい、その結果首や肩のこりを引き起こして頭痛に至っている場合があります。

2-2 緊張型頭痛になったら、しなければならないこと

まず、ストレスの原因を取り除きます。虫歯はきっかけに過ぎず、日常生活に何らかの問題がある場合が少なくありません。長時間デスクワークをしていないか、きちんと休憩を取っているか、心身にストレスがかかることを継続していないかチェックしましょう。適度な運動も大事です。

2-3 緊張型頭痛になったら、してはいけないこと

原因となる悪い姿勢や仕事を無理に続けてはいけません。それでも良くならない場合は我慢せず、消炎鎮痛剤を内服することも考えます。

3.虫歯→顎関節症による頭痛

虫歯があると気になり、虫歯じゃない歯で食事をするようになります。この習慣が続くと不自然な食べ方をするため、噛み合わせがずれる原因になります。

噛み合わせがずれたまま放置しておくことで顎関節症になり、結果としてあごの関節の付け根や頭痛を引き起こす場合があります。特徴的な痛みがあるので、顎関節症かどうかは比較的判別しやすいものです。該当箇所の痛みに気がついたら、放置せずに受診することが大切です。

3-1 虫歯から顎関節症になるメカニズム

虫歯によって顎関節症を発症するケースがあります。虫歯で歯の形が崩れて噛み合わせが悪くなってしまい、あごに負担がかかって顎関節症になるのです。顎関節症の痛みの特徴は、こめかみの近くにある側頭筋を痛めていることから起こるこめかみ部分の痛みです。また、口を動かすたびに音がしたり、痛みが走ったりします。

3-2 顎関節症になったら、しなければならないこと

顎関節症になると、顎を使うとおかしな音がしたり、口が開けにくくなったり、物を食べるたびに痛みが生じたりします。このような症状を放っておくと、ゆがみが大きくなってしまいます。まずは歯科医院を受診しましょう。虫歯を治療してもらうのと同時に顎関節症の治療もしてもらうようにします。

3-3 顎関節症になったら、してはいけないこと

症状の悪化につながることは避けましょう。具体的あげられるのは、片噛みのクセや、ほおづえをついたり噛み締めたりすることです。これらはあごに負担をかけてしまいます。また、うつぶせ寝もよくありません。長い間口を開けっぱなしにするのもやめましょう。あごを極力使わないようにします。

4.虫歯→脳静脈血栓症による頭痛

あまり知られていませんが、虫歯を放っておくと脳の病気になることもあります。虫歯がひどくなり虫歯菌が血管にまで入り込んでしまうと、虫歯菌が血流にのって脳に運ばれるため、脳内炎症が起こり、血栓ができるのです。

その血栓によって血流が滞り、頭痛が起こります。この病気が怖いのは、最悪の場合には意識障害やけいれん、死に至ることもありうるということです。できるだけ早期に発見をし、治療を開始することが大切です。

4-1 虫歯から脳静脈血栓症になるメカニズム

血管は全身を走っていますから、血液に細菌が入り込んでしまうと、思いがけないところで病気の原因になります。虫歯菌が神経まで至ると、神経の先から血管につながってしまい、虫歯菌がここから脳に運ばれて脳が虫歯菌に感染してしまいます。

4-2 脳静脈血栓症になったら、しなければならないこと

できるだけ早めに脳外科を受診します。放っておけば命に関わることにもなりかねません。

4-3 脳静脈血栓症になったら、してはいけないこと

脳の血管に血栓ができている状態ですから放置してはいけません。血栓が大きくなると脳の血管をふさいでしまったり、細い血管を詰まらせたりすることにもなります。詰まった場所によっては脳梗塞になる可能性もあります。

5.まとめ

虫歯と頭痛とは症状が起こる場所が離れているので、一見なんの関係もないように見えます。しかし、実は虫歯が原因で起こる頭痛はいくつかあり、場合によっては命に関わることもあるので注意が必要です。

虫歯から頭痛が起こる原因としては4つあります。虫歯から上顎洞炎になる場合と緊張型頭痛になる場合、顎関節症になる場合、そして脳静脈血栓症になる場合です。

いずれもどのようなメカニズムで虫歯から病気が発症するのか知っておき、症状が出たらいち早く対処することが重要です。痛みが出た場合にしてはいけないことと、しなければならないことに注意し、原因となる虫歯の治療と頭痛の両方に対処することで症状は改善します。

執筆者:歯科こえ 編集部

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