アドベンチャーマラソンの世界で活躍している北田雄夫選手にインタビューを行う後編。
レース中には、どんな食べ物を取っているのか、歯のケアをどう行っているのかなど聞きました。
また、過酷なレース中に経験したトラブルなどについても語っていただきます。
※前回の記事「アドベンチャーランナー・北田雄夫選手に聞く!サバイバルと歯磨き」
この記事の目次
食事はお菓子がメイン!軽さが何より大事
――レース中はどういった食事をしているのですか?
レースにもよるんですが、完全食という水に溶かして飲むドリンクを取っています。ほかは、お菓子をメインにしていますね。
軽くてカロリー、エネルギーが高い食料が大切なので、お菓子を持っていくことが多いんですよ。飽きずに食べることもできますね。
お湯がもらえるレースでは、(インスタントの)焼きそばを食べることもありますよ。もらえない場合はお菓子を食べつづけていますね。
レース中のリフレッシュ!歯ブラシは必ず持参
写真提供:北田雄夫選手
――レース中はどのように歯のケアをしているんですか?
毎回、歯ブラシは持っていきますね。荷物としてはその分の重量がマイナスになるんですけれども、そこでストレスを抱えるよりは、僕にはプラスになると思っています。
また、歯磨き粉は重たいので持っていかないですね。水をチェックポイントでもらえるので、そこで歯磨きをしているんです。
――レース中も歯磨きを大切にするのはなぜですか?
歯磨きがリフレッシュになっているんです。レース中は、なかなか日常を感じることがなく、“ぼーっ”とすることもないのですが、歯磨きをしている瞬間は“素に戻れる”というか、安心感のある瞬間なんですよ。
――どのような歯ブラシを持っていっていますか?
極力軽い方がいいので、コンパクトな歯ブラシを持っていっています。
ジャッカルやヘビの脅威!レース中に起こりえる危険
――レース中、口内にけがをしたことはありますか?
口内のけがは特にないんですけれども、食べることが大事なので、口内トラブルが起きないよう意識しています。
――レース中に、危険を感じたことを教えてください
いろんなトラブルが起こりえる可能性があるので、危ないと感じることは多々あります。厚さや寒さもそうですが、動物や虫と遭遇することもあります。
動物で危ないのはジャッカルですね。ヘビも赤い色は怖いですね。レースではヘビには噛まれたときの注意事項がアナウンスされているんです。「止血しなさい」とか「血が回らないようにしなさい」とかですね。
ヘビに噛まれたことはないですが、小さい虫に噛まれたことは無数にあります。レースが終わったら体に“ぶつぶつ”ができていました。
雪がベッドや枕、人に!?追い詰められた精神が見せる幻覚
写真提供:北田雄夫選手
――過酷なレースですが、どういった理由でリタイアしていく選手がいるのですか?
リタイアする理由はさまざまで、「足を踏み外して滑落し、骨折してしまう」「足の裏が“ずるむけ”になって血だらけになっている」「爪がはがれてしまう」などがあります。
また、厳しい環境の中で精神がもたずに異常をきたしてしまい、リタイアするというケースもあります。
――精神的につらくなったというエピソードがあったら教えてください
幻覚を見たことがありますね。アラスカをマイナス30℃の中で寝ずに2日間走っていたときなんですが、とても寂しかったんです。
周囲一帯、雪に囲まれていたんですが、次第に雪がベッドに見えてきて、ごつごつしている雪は枕に見えていました。
いないはずなのに、周りに人が見えていましたね。自分と向き合うということも、このレースの戦いの一つになっています。
丈夫ではなかった子供時代!歯医者さんの苦い思い出
――子供のころは、どんな子供だったのですか?
小学校の頃は朝礼で長く立っていると、貧血で“ふらふらっ”となってしまうような子供でした。ただ“かけっこ”だけは速くて、自然と陸上部に入り、短距離を始めたんです。
――虫歯などはありましたか?
虫歯はありましたね。それで歯医者さんに行きました。あの、“キーン”という音が苦手で…。
「口を開けてください」「目を閉じてください」というのが、「何をされているんだろう?」と怖かった思い出ですね。
――どのような歯医者さんを選んで通いたいですか?
理想は、1回で全部処置してくれる歯医者さん。いろんな理由があってできないんでしょうけど(笑)。
2年ほど前ですかね、クリーニングを含め、定期健診で行かせていただいた歯医者さんは、すごくよかったですね。
親切で雰囲気もよく、会話していたらもう終わっていたというような、そういう歯医者さんはいいなと思っています。
――最後にメッセージをお願いします
2020年は、ヒマラヤ山脈で850kmというレースがありますし、これからも日本人が誰もやっていないことに挑んでいきたいです。そして、“見たこともない景色や体験”を多くの方と分かち合いたいです。
取材日:2019年12月24日
プロフィール
北田雄夫
1984年生まれ。大阪府堺市出身。
2014年、30歳からアドベンチャーマラソンに参加。
2017年、日本人として初めて「世界7大陸アドベンチャーマラソン」を走破。
2020年は、ヒマラヤ山脈にて850kmのレースに挑む。
「北田雄夫 アドベンチャーランナー公式サイト」
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