歯や歯茎がかゆい…、むずむずする…。そんな症状が出てしまう原因には、『歯周病』や『虫歯』、『親しらず』、『ストレス』、『アレルギー』など、大きく分けて6つの可能性が考えられます。
この記事では、歯や歯茎がかゆいと感じてしまう原因と、それぞれの対処法についてまとめています。
※2017年9月12日更新。
この記事の目次
歯がかゆいと感じる原因と対処法
1.歯周病
歯周病が原因で、歯や歯茎がかゆくなるときは、虫が這うような『掻痒感』を感じることがあります。
歯周病は、歯と歯茎の隙間である『歯周ポケット』に歯石やプラークがたまって歯茎が炎症してしまう病気です。
歯周病が進行すると、最終的に歯を支える骨などの『歯周組織』が破壊され、最悪の場合は、歯が抜け落ちてしまうことまであります。
なんと、30代以上の日本人の8割が歯周病に感染しているというデータも発表されています。
歯周病は、自覚症状がほとんどない病気ですが、「歯茎がかゆい」と感じることや、歯茎の炎症や出血などの症状がでる場合があります。
この症状のほか、『歯がぐらぐらする』、『口臭が気になる』、『歯みがき中に出血する』、『歯が長くなったように感じる』、『歯茎から膿がでる』などの症状のうち、1つでも当てはまるものがあれば歯周病になっている可能性が高いため、すぐに歯医者さんを受診することをおすすめします。
2.虫歯
虫歯ができている場合も、歯や歯茎が「かゆい」「うずく」ように感じることがあります。
神経のあたりまで進行した虫歯が、歯の内部の『歯髄』という神経がとおっている場所に到達し、そのまわりで炎症を引き起こし、神経を刺激してしまうことが原因です。
また、数本分の歯の周辺がむずむずしてしまうのは、歯の神経がすべてつながってることで、複数の歯の神経がうずいてしまい、複数の歯がむずがゆく感じてしまうのです。
虫歯が原因になっている場合は、歯医者さんで治療するしか解消方法はありません。
歯の神経まで到達してしまった虫歯の治療では、『根管治療』という歯の根を消毒する方法で治療することがあります。
虫歯治療は進行すればするほど、治療期間や費用面で負担が大きくなってしまったり、治療中に痛みを感じる度合いも強くなるので、早めの治療をおすすめします。
3.親知らず
親知らずが痛み始めるまえの兆候としてかゆみを感じたり、親知らずが生えてくるときにむずがゆさを感じることがあります。
親知らずは、前歯から数えて8番目の歯のことで、生える時期は10代後半~20代前半が一般的です。親離れしてから生え始めることが名前の由来だといわれています。
横向きに埋まって生えてしまうことや、逆さまに生えてくることもあり、周辺の歯や歯茎に刺激を与えてしまうことが原因で炎症をひきおこし、かゆいと感じることがあります。
親知らずは、まっすぐ生えていて、歯並びの邪魔をしていなかったり、親知らずの上下がうまくかみ合わさっていたり、歯磨きがうまくできているようであれば抜歯する必要はありません。
逆に、親知らずが斜めを向いていたり、親知らず周辺が腫れたり痛んだりすることを繰り返している場合は、親知らずを抜くという判断になります。
4.ストレス、体調不良
過度にストレスがたまっていたり、疲れたり、風邪などの体調不良時にも、体に現れる異常反応として歯がかゆく感じることがあります。
口の中には、『常在菌』といってもともとヒトの体に存在している菌がたくさんいるので、ストレスや疲れがたまっていると、免疫力が低下してしまい、細菌に感染しやすくなってしまいます。
こうして、歯茎が腫れたり、かゆみ、むずがゆさを感じたりするのです。また、風邪の細菌にも反応することがあります。
5.アレルギー
食物アレルギーまたは、歯科治療で入れた銀歯による金属アレルギーがきっかけで歯や歯茎がかゆくなることがあります。
とくに、花粉症の人の中にはりんご・桃・サクランボなどのフルーツやナッツ類、野菜などを食べたときに口の中や歯茎の粘膜が腫れたような感覚やしびれを感じることがあります。
このアレルギーは『口腔アレルギー症候群(別名:テラックスフルーツ症候群)』と呼ばれます。この場合は、アレルギーの原因(アレルゲン)を接種することを控えるか、アレルギー反応を抑える薬で対処していきます。
一方、銀歯が原因になっている場合は、原因となっている銀歯を取り除き、アレルギーのリスクの低いプラスチック製またはセラミック製の詰め物・被せものに入れ替えます。
6.歯への負担(歯ぎしり・食いしばりなど)
ヒトが歯を食いしばると、約70Kgもの力がかかっているといわれます。
歯ぎしりや歯を食いしばっているときは、このように強い力がかかり、歯のまわりにある『歯周組織』の『歯根膜(しこんまく)』が炎症をおこしたり、麻痺してしまいます。すると、歯の周辺がむずむずとかゆくなったように感じるようになります。
歯に負担がかかりすぎると、最悪の場合は、歯にヒビが入ってしまったり、割れてしまうことがあります。
歯ぎしりや食いしばりが原因になっている場合は、『口腔外科』のある歯医者さんで治療をうけることができます。
マウスピースを装着して歯を保護する治療や、薬物療法でアゴの筋肉をゆるめる治療などの中から、症状や個人の状況を考慮して治療法を決めていきます。
自分でできる応急処置
歯がむずむずしている原因が「歯周病」や「虫歯」など、歯医者さんで相談したほうが良いと分かった方の中には、すぐに歯医者さんに行くことが難しい方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんなときに自宅でできる応急処置方法をご紹介します。
1.口の中を清潔に
歯周病の度合いがまだ軽い場合は、『正しいブラッシング』で歯を磨くと、かゆみを抑えられる可能性があります。ブラッシングをおこなうときは、歯と歯茎の境目にブラシを当てて、「歯周ポケット」からプラークや細菌を除去しましょう。
このとき、歯ブラシで「ゴシゴシ」こするのはNGです!やさしい力でブラシを細かく動かすようにしましょう。さらに、歯ブラシで落としきれない汚れを落とすために、デンタルフロスや歯間ブラシをつかうこともおすすめします。
2.うがい薬を使う
うがい薬に含まれる殺菌作用を利用して、口の中を消毒すればかゆみを一時的に抑えることも期待できます。
うがい薬を口に含み、強めにうがいをしてみてください。
まとめ
歯や歯茎がむずむずしたり、かゆみを感じるということは、口の中に何らかの問題が起こっているサインです。
いろいろな原因が考えられるので、いちど歯科で診断をうけることをおすすめします。
また、歯周病や虫歯は、早めに治療することができれば治療費や通院回数も少なく済んだり、歯を多く残す道も選択できたりするかもしれません。
歯に違和感を感じた場合は、時間をみつけて早めに歯科医院で相談しましょう。
歯科こえでは、お口のトラブルをサポートする情報を掲載しています。読者の方々が抱える悩みや症状、その原因を解説し、治療方法なども記載しています。また、歯科こえコラムの全記事を歯科医師が監修しています。