虫歯治療の際に被せてもらった銀歯が突然取れてしまうことがあります。銀歯それ自体や歯とくっつけるための接着剤の劣化、銀歯の周りに虫歯ができて合わなくなることが原因で取れてしまうことがあります。仕事や子育てで忙しくてすぐに歯医者さんに行けない場合もあり、しばらく放置していても大丈夫なのか気になるところです。
しかし、銀歯が取れたまま放置していると、さらに大きなお口のトラブルを引き起こしてしまいます。この記事では、その起こりうる8つの症状を紹介しています。銀歯が取れたときの対処方や、絶対にやってはいけないことも一緒に掲載しているので参考にしてください。
この記事の目次
1.銀歯が取れたまま放置すると起こりうる8つの危険
1-1.虫歯になる
銀歯が取れて1カ月放置すると、多くの場合初期の虫歯が始まります。治療で削った歯を守る役目を果たしている銀歯が取れたということは、柔らかい象牙質の部分がむきだしになっているということです。歯の象牙質の部分は虫歯になりやすく、銀歯が取れた歯は食べかすが溜まりやすいです。そのため、常に高い虫歯のリスクにさらされている状態にあると言えます。
1-2 虫歯が進行して穴が開く
銀歯が取れて3カ月が経過すると、虫歯が大きく進行して歯に穴が空くと言われています。歯の象牙質の部分から伸びている管を細菌が侵食していき、神経まで達するのも時間の問題となります。
1-3 歯が欠ける
放置してから半年ほど経つと、歯が欠けます。歯の内側の柔らかい象牙質の部分が虫歯に溶かされ、残された外側のエナメル質の部分ももろくなるからです。神経が残っている歯であれば、継続的な強い痛みが発生する場合もあります。
1-4 歯周病になる
歯茎が腫れて痛みが出ます。銀歯が取れた部分は食べかすが詰まりやすくなっており、歯周病菌が繁殖しやすいです。そのため、歯茎が炎症を起こして腫れるなどの歯周病の症状が出る原因となります。
1-5 噛み合わせが悪くなる
銀歯が取れたことで、噛み合わせのバランスが崩れてしまいます。噛み合わせが悪い状態が続くと、あごの痛みや頭痛を引き起こす場合があります。
1-6 口が臭くなる
虫歯菌や歯周病菌が繁殖すると臭いが出ます。銀歯が取れた歯には食べかすが溜まりやすいので細菌の温床となります。そのため、放置しておくと口臭の原因となります。
1-7 抜歯が必要になる
神経がない歯は力を失っており、虫歯が進行して歯がほとんど残っていない場合など抜歯するしかなくなることがあります。
1-8 ほかの歯に悪影響が出る
銀歯が取れた歯を放置していると、虫歯や歯周病になりやすい状況になります。その歯が原因で、周りの歯も虫歯や歯周病になる場合があります。
2.銀歯が取れたときに役立つ!5つの対処法
2-1 銀歯を容器に入れて保存
銀歯が取れたときにまずやるべきことは、容器に入れて大切に保管することです。状態が良ければ、歯医者さんで再接着してもらうことができるからです。銀歯は小さいためなくしやすく、ティッシュなどに包んでいると間違って捨ててしまうことも多いです。
そのため、小さめのタッパやチャック付き袋に入れて保管しておくのがおすすめです。新しい銀歯を作るとなると、時間も費用もかかってしまいます。絶対に捨てないようにしましょう。
2-2 食事に気をつける
銀歯が取れた歯を使わない
銀歯が取れた歯を確認して、食事の際はできるだけその歯で噛まないように気をつけましょう。銀歯が取れた歯はもろい状態なので強く噛む、硬い物を食べるなどすると、ひびが入ったり割れたりする原因となります。歯が根元まで割れてしまうと、抜歯が必要になる場合もあります。
熱いものや冷たいものは避ける
熱いものや冷たいものの飲食は控えましょう。銀歯が取れた歯は中の柔らかい象牙質の部分が露出した状態になっています。そのため、神経まで刺激が伝わりやすいので、熱いものや冷たいもので、痛みやしみる症状が出る場合があります。できるだけ熱いものや冷たいものを取ることは控え、銀歯が取れた反対側の歯で飲食するようにしましょう。
2-3 歯磨きを丁寧に行う
銀歯が取れた歯は、きちんと歯磨きをしましょう。本来なら硬いエナメル質の下にある、虫歯になりやすい象牙質が露出しているためです。また、空いた穴には食べかすや汚れが溜まりやすくなっています。食べかすが何層にも重なると歯茎が腫れる原因にもなります。
銀歯が取れた歯はもろくなっているので、あまり力を入れないで、ゆっくり丁寧に磨いて虫歯や歯周病を予防する必要があります。
2-4 銀歯を飲み込んだ場合
飲み込んだとき
銀歯が取れた拍子に誤って飲み込んでしまった場合でも心配はいりません。消化はされず、2、3日後には便と一緒に出てきます。そのままトイレに流しましょう。数日経過しても排出されず、お腹の調子が悪いようでしたら内科を受診してレントゲン写真を撮って確認してもらってください。
喉に異物感がある場合
飲み込んだときに喉に引っかかる、気管に入るなど異物感があるときは、内科を受診してください。ほとんどの場合は咳の勢いで食道に入りますが、喉の異物感が取れないときは、レントゲン写真で銀歯がどこにあるかを確認後、必要な場合はファイバースコープで取り出します。
2-5 歯医者さんに行く
遅くとも2週間以内に受診
虫歯が原因で銀歯が取れたのでなければ緊急性は低いですが、できるだけ早く歯医者さんで治療してもらうようにしましょう。1カ月後には初期虫歯の症状が現れる可能性が高いので、遅くとも2週間を目安に受診することをおすすめします。
旅行先で取れた場合
旅行先で銀歯が取れた場合は、現地の歯医者さんで応急処置をしてもらって、戻ってからかかりつけの歯医者さんで診てもらうようにしましょう。1カ月以上の長期滞在の場合は、現地の歯医者さんに治療してもらってください。
3.銀歯が取れたときにやってはいけない4つのこと
3-1 詰め物を無理に戻さない
無理に戻そうとすると、銀歯や歯を損傷してしまう原因となります。たとえ銀歯が元の歯にすっぽりはまっても、浮いた状態で歯との間には隙間があります。そのまま使用すると歯にひびが入る、割れる、欠けることにつながります。さらに、再び取れてしまった際に、誤って飲み込んでしまうことや気管に入る恐れもあります。取れた銀歯を自分で戻すことはやめましょう。
3-2 接着剤で銀歯を付けない
雑菌が入り込む
瞬間接着剤などで銀歯をくっつけることは、歯の寿命を縮める危険な行為なので絶対にやってはいけません。口の中には多くの雑菌がいます。歯医者さんでは、詰め物や被せ物をするときに歯の表面を消毒してから乾燥させます。雑菌を除去してからセメントで接着するのです。
接着剤を使用して自分で付けた場合、銀歯と歯の間に雑菌が入って虫歯や膿が溜まる原因になってしまいます。また、瞬間接着剤は水に溶けてしまうため、中に空洞ができてしまいます。これも雑菌が入って虫歯の原因となります。
銀歯や歯に接着剤が付着
接着剤は取り除くことが難しいため、まだ使用できた銀歯でも新しく作り直す必要が出てきます。何より残っている歯に付いた接着剤を除去するために、本来なら削らなくても良かった部分を無駄に削ることにもつながってしまいます。
3-3 銀歯が取れた歯をいじらない
詰め物が取れた歯はどうしても気になってしまうものです。しかし、銀歯が取れた歯を指や舌で触らないようにしましょう。雑菌によって虫歯や炎症を引き起こす可能性があります。また、すでにその歯が虫歯になっていたら、刺激することで痛むようになる場合もあります。
3-4 長期間、放置しない
前述したように銀歯が取れた歯を放置すると、虫歯や歯周病、口臭などさまざまなトラブルが起こる危険性があります。虫歯が進行すれば最悪、歯を失うことになります。長期間、放置するようなことはせず、できるだけ早く歯医者さんで診てもらいましょう。
4.まとめ
銀歯が取れたまま放置してしまうと虫歯になるリスクが高く、痛みがなくても症状は進行していく場合があります。悪化すると最終的には歯を失うことになるので、早めに歯医者さんを受診するようにしましょう。
歯医者さんに行くまでは、銀歯の保管と取れた歯のケアをしっかり行うようにしましょう。決して銀歯を自分ではめなおすことをしてはいけません。また、銀歯が取れるという事態に悩まされないようにするためにも、歯医者さんの定期検診でチェックしてもらうことも大事です。
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