銀歯がしみるのは辛い症状ですね。好きなように好きなものを飲んだり食べたりしたいのに、冷たいものや熱いものを口にすると痛烈な刺激が走る…。
痛いからすぐにでも歯医者さんに駆け込みたいところでしょうけれども、場合によっては様子をみることが必要になります。
銀歯がしみるのには理由があります。どのような場合に歯医者さんに行き、どのような場合に様子をみた方がいいのか、治療前と治療後に分けてご説明します。しみないようにする対策も併せてご紹介しますので、ぜひご参考になさってください。
治療もしていないのにどうしてしみるのかとお思いの方もいらっしゃるかもしれません。今回の治療前には、かつて治療をし、銀歯にした内容も含みます。
この記事の目次
1.治療してから何年もたっている銀歯がしみる場合
1-1 虫歯になっている可能性
以前に治療して銀歯にした歯が痛む場合、かぶせた銀歯と歯の隙間に新たな虫歯ができてしまった可能性があります。銀歯は5~6年で劣化が始まると言われており、長い間にすり減ってしまいます。すると、そこから元の歯との間に隙間ができ、新たに虫歯ができてしまうことがあるのです。
また、かつて銀歯にした際、神経を残すことができたけれども、その神経が次第に弱ってしまったという可能性もあります。神経を抜いてしまうと歯の寿命が縮むため、残してはみたものの数年の間に神経が弱ってしまったことが原因として考えられます。
あるいは、銀歯の隣の歯が虫歯、もしくは知覚過敏になっている場合もあります。口の中は、髪の毛1本を異物と感じ取ることができるほどに敏感ですが、歯の痛みはお隣の歯の場合でも同様に感じることがあります。銀歯ではなく、実は隣の歯の虫歯や知覚過敏が原因ということもあるのです。
1-2 知覚過敏の可能性
銀歯にした歯が知覚過敏になっていることも考えられます。歯周病により歯茎が下がると知覚過敏になり、歯がしみると感じます。
歯ぎしりや歯のヒビも、歯がしみる原因となります。歯ぎしりの強い方は知覚過敏が多かったり、歯の根元がくの字に削れたりすることがあります。このような状態になると歯がしみると感じます。また、歯のヒビ割れが深く神経まで達しているようであれば、しみる原因となります。
対処法
かつて治療をした銀歯がしみる場合には、どのように対処したら良いのでしょうか。
基本的に治療前の場合は、歯医者さんによる治療が必要です。銀歯がしみる原因が虫歯なのか、知覚過敏なのか、周囲の歯の異常なのか、自分ではなかなか判断ができません。
そのような場合、歯医者さんの予約がすぐに取れれば良いのですが、予約まで日があいてしまうこともあり得ます。痛みがひどい場合には、応急処置をしましょう。痛み止めのお薬を飲む、痛いところを冷やすなどして、歯医者さんにみてもらうまでしのぐようにします。
1-3 銀歯、被せもののセメントが劣化・崩壊!
被せものと歯を合着しているセメントの劣化により、銀歯が咬合な
2.治療後にすぐに銀歯がしみる原因
最近治療して銀歯にしたばかりだという方の場合、以前に治療した方とは異なり、様子をみることが必要になります。
2-1 治療によるもの
銀歯はその名のとおり、銀を使っています。銀は金属でプラスチックやセラミックより熱が伝わりやすい物質ですので、治療して神経までの距離が短くなった分、熱いものや冷たいものがしみやすくなります。
また、治療によって神経が刺激を受け、敏感になっていることも挙げられます。治療の際には麻酔を打つ、歯を削る、歯を乾燥させるなど、神経はダメージを受けています。
しかし、過剰な刺激から神経を守るために、神経と銀歯の間に第三象牙質という防護壁のようなものができます。そうするとしみると感じなくなるのですが、その防護壁が出来上がるまでにかかる時間が、1~2週間から数カ月と言われています。
銀歯にしてから数カ月たっても、しみたり、しみる感覚から痛みを感じたりするようになってしまうようなら、歯医者さんに相談してください。
3.治療後にしみる場合の対処法
基本的に銀歯で治療した場合、数週間はしみることがあります。しかし、あまりにも我慢できない場合は、下記のような方法があります。
3-1 熱が伝わりにくい素材に変える
銀よりも熱を伝えにくい素材に変えるのは、ひとつの方法です。銀の代わりになるものとしては、プラスチックとセラミックがあります。最近は銀がアレルギーの原因になると言われていることもあり、銀歯を推奨しない歯医者さんも増えています。
プラスチックは比較的安価ですが、天然の歯との質感の違いや耐久性にやや難があります。プラスチックとセラミックの特長を生かし、良いとこ取りをしたような素材がありますが、その場合で、1本約2万5000円(税別)以上の費用がかかります。
セラミックは高価ですが、本物の歯と遜色ない見た目と耐久性の良さが特徴です。透明感もあり歯の自然な質感とほとんど変わりありません。1本約10万円(税別)からです。
3-2 神経を抜く
詰め物やかぶせ物の素材を変えるのではなく、しみると感じる原因である神経を抜くという考え方もあります。
神経を抜く場合、刺激を感じる元を取り去るのですから、当然痛みを感じなくなりますが、一方で様々なデメリットがあります。
歯が欠ける、割れるなどしやすくなります。また歯の色がくすんだように変色することも起こりやすくなります。刺激を感じませんので、神経を抜いた歯に新しく虫歯ができてしまった場合など、異変に気付くのは遅れてしまうでしょう。
4.まとめ
銀歯がしみるのは、治療前と治療後で理由が異なります。治療後は様子見ですが、治療前の場合(以前に治療した銀歯の場合)には、その後に発生した虫歯の可能性もありますので、速やかに歯医者さんにみてもらいましょう。
銀歯がしみないようにするにはいくつか方法があり、素材を変える方法や神経を抜くという選択肢があります。ただし、神経を抜いてしまった後のデメリットを考えると、できる限り神経を残す治療をおすすめします。
また、治療時に局所麻酔をする際、血管が収縮されることで、歯髄(神経)に栄養などがこなくなって弱った状態で歯を削ることになります。そのため、どうしてもしみる場合があるのと、削ったために象牙質が露出する可能性があります。歯科医師としっかり相談して治療に臨んでください。
歯科こえでは、お口のトラブルをサポートする情報を掲載しています。読者の方々が抱える悩みや症状、その原因を解説し、治療方法なども記載しています。また、歯科こえコラムの全記事を歯科医師が監修しています。