子供の歯が生え始めると、うれしい反面、ママにとっては子供の歯磨きについて悩まされることが多くなります。特に2~3歳にかけては、自我が芽生え、ママの言うことを素直に聞いてくれないことも多くなります。そんな時、「イヤイヤ期だから、仕方ない」とつい考えてしまいますが、もしかすると、誤った磨き方をして嫌がられているだけかもしれません。
そこで今回は、子供の歯磨きの正しい磨き方や、子供が歯磨き嫌いにならないためにママが出来ることをご紹介します。子供の時の歯みがき習慣は、大人になっても健康な歯を保つためにとても大切です。子供の仕上げ磨きの時間は親子のスキンシップの時間でもあります。ぜひ親子で楽しんで歯磨きができるように心がけてみてください。
この記事の目次
1.子供の歯磨き、何歳から?
子供の歯磨きは、一般的に乳歯が生え始める生後6カ月頃~1歳頃からスタートします。生まれたての赤ちゃんの口の中には、虫歯菌が存在しません。それなのになぜ虫歯になってしまうのでしょうか?
それは、食事の時の食器の共有や口移しなどにより、ママやパパなど赤ちゃんにとって身近な大人から虫歯菌が移ってしまうことがあるのです。そうならないためにも、子供の時からの歯磨きは大切です。
2.子供の歯磨き、正しい磨き方とは
1.歯ブラシの毛先が「歯と歯茎の境目」「歯と歯の間」に、まっすぐになるようにきちんとあてる。
2.軽い力で、歯ブラシの毛先が広がることのないようゆっくり動かしながら、1~2本ずつ磨く。
3.歯垢はなかなか除去しにくいため、20回程度を目安に小刻みに動かす。
※ブラッシング時間は、そのお子さんの年齢や状態により異なるため、歯医者さんに相談するのがおすすめ。
乳歯は永久歯と比べエナメル質の厚みが永久歯の半分ほどの薄さしかなく、石灰化が不十分なため、永久歯よりも虫歯になりやすいといえます。また、子供は痛みに気づきにくく、神経まで広がりやすいため、わかった時にはかなり進行している場合があります。ですから普段からしっかり歯磨きを行うことが大切です。
3.嫌がる子供にはどうする?
子供が歯磨きを嫌がると、ママはとても困りますね。中には泣きわめく子供を羽交い締めにして歯みがきをした、という経験をお持ちの方もいるかもしれません。
「こんなに歯磨きを嫌がるのは、何か私のやり方がいけないんだろうか」と自分を責めるママもいるのではないでしょうか。
子供が歯磨きを嫌がるのは理由があります。
3-1 そもそも歯ブラシを口に入れることに慣れていない
大人にとって、歯ブラシは歯を効率よく磨くことのできる道具ですが、初めて歯みがきと出会う子供にとってはそうではありません。細くて長い棒のようなもので口の中を引っ掻き回されるわけですから、歯磨きが分からない子供にとっては恐怖心を感じてしまうのも仕方がないといえます。
歯ブラシそのものに慣れておらず、口に入れることに対する不快感があるようだと感じるなら、歯ブラシをあらかじめ二本用意し、親の管理下のもと、歯磨きをする時に一緒に歯ブラシを持たせる方法があります。赤ちゃんの場合は喉を付くことを防止するため、柄が短く、先が歯や歯茎を傷つけないシリコン製のものを使用しましょう。
そして、「全然痛いことしないからね」と話して、歯ブラシの面を子供の手のひらにあててあげましょう。軽くブラシでこすってから、「痛かった?」と聞いてみましょう。そうすることで、小さな子供であっても歯ブラシが危険なものではないことや、歯ブラシが何に使うものなのかといったことを感じることができます。
3-2 こだわりが強い
イヤイヤ期を迎える2~3歳は、自分なりの「こだわり」が芽生え始める時期ともいえます。「いつもと同じ」を好み、そうではないと癇癪(かんしゃく)を起こす場合もあります。歯磨きにおいても同様で、歯磨きをする場所や、時間、使う歯ブラシなどいつもと違う状況が起きた時、不安になってしまうことがあります。そのため、なるべく決まった時間や決まった場所で行うように心がけ、使用する歯ブラシやコップなども同じものを使うようにしましょう。
3-3 仕上げ磨きが強すぎる
歯ブラシのあてかたが強すぎるのも、子供が歯磨きを嫌がる理由の一つになります。乳歯が虫歯にかかりやすいのは「奥歯のかみ合わせの上下4カ所」と「上の前歯」です。
子供の歯は大人の歯と比べ歯のまわりをおおうエナメル質が薄いので、あまり強く磨くのはおすすめできません。また、強く磨くことで子供の柔らかい歯茎を傷つければ、逆に歯垢を取りづらくなってしまいます。
自宅で簡単に歯ブラシの力加減をチェックする以下の方法があります。
用意するもの
キッチンスケール、キッチンペーパー、仕上げ磨きに使う歯ブラシ
やり方
・水平な場所にキッチンスケールを置き、その上にキッチンペーパーを乗せ、0gになるよう設定します。
・普段子供に歯磨きをする持ち方で歯ブラシを持ち、毛先をそのままキッチンスケールに押し当てて数字を図ります。このとき「150~200g」の間になる程度の力加減が良いとされています。これ以上あれば強すぎるので、軽めになるよう調整してみましょう。
3-4 歯磨きをするママの表情が怖い
子供を虫歯にさせたくない、というママの真剣な気持ちが高じると、歯磨きをする時に表情が険しくなってしまうことがあります。子供はママのことが大好きですから、ママのちょっとした表情の変化もすぐに気づいてしまうものです。ママが真剣になればなるほど、「今日こそは歯磨きをしっかりしなければ!」と思えば思うほど、子供は引いてしまいます。
もちろん歯磨きは大切な子供の歯を虫歯にさせないために必要なことですが、子供も一人の人格を持っていますから、気分が乗るときと乗らない時があります。予定通りにいかないのは当たり前と考え、毎回は難しかったとしても、「一日一回、夜はしっかり磨こうね」と子供と約束するなど、子供と相談しながらお互いの妥協できるポイントを探っていくのも良いでしょう。
「歯磨きの時間はママと仲良くできる楽しい時間」というイメージを子供に持ってもらえるよう、優しく笑顔でいることを心がけてみてください。
4.楽しく歯磨き!すぐにできる歯磨きの工夫とは?
大切な子供の歯を虫歯にしないためには、やはり毎日の歯磨きが大切になります。では、楽しく歯磨きするにはどういった工夫があるでしょうか。
4-1 手鏡を持たせて歯磨きの様子を見せる
当然ながら、歯磨きをしている様子は子供には見えません。子供にとっては何をされているのか見えないため、その不安が歯磨きを嫌がる原因になる場合があります。歯磨きの際には、子供に手鏡を持たせて歯磨きをしている様子を見せるのもおすすめです。汚れが取れたら、「ほら、こんな食べかすが歯にくっついていたよ。きれいに取ったから、ピカピカになったね」と、歯磨きを終えた歯とともに、歯ブラシについた食べかすなども見せてあげるのも実感がわきやすく良いでしょう。
4-2 歯磨きの大切さを伝える絵本の読み聞かせ
仕上げ磨きをスムーズに行うために役立つのが、歯磨きの大切さを伝えてくれる絵本の読み聞かせです。月齢に応じてさまざまな歯磨き絵本があるので、子供の興味に合わせて小さなうちから親しんでおくと良いでしょう。
4-3 上手に仕上げ磨きができたらご褒美シール
仕上げ磨きができたら、ご褒美シールをあげるのもおすすめです。シール帳を使っても、歯磨き用に表を作ってもいいですね。子供の頑張りを目で確認できるものがあると、子供のモチベーションも高まります。
5.子供におすすめの歯磨きグッズ
子供の歯磨きグッズはさまざまあり、どれを選べばいいのか迷ってしまう方もいると思います。歯磨きデビューする前の、子供におすすめのオーラルケアグッズをご紹介します。年齢に応じて使い分けることにより、お互いに気持ちよく、楽しみながら歯磨きを行うことができます。
【ガーゼ】
ガーゼ磨きを始めるタイミングは、赤ちゃんに下の前歯が生え始めた時です。(生後6カ月~)
【ガード付の歯ブラシ】
上下4本の前歯が生えたら、おもちゃ代わりにガード付歯ブラシを持たせましょう。(生後6カ月~1歳頃)
【仕上げ磨き用歯ブラシ】
歯ブラシに慣れたら、仕上げ用歯ブラシを使います。(1歳頃~)
【歯磨きシート】
仕上げ磨きを嫌がる赤ちゃんにおすすめ「歯磨きシート」。外出時にも使えて便利です。
【子供用歯磨き粉】
赤ちゃんが好きな甘い味の「子供用歯磨き粉」を使うと、歯磨きを嫌がらなくなります。
【キシリトールのタブレット】
奥歯が生える1歳6カ月ごろから摂取できるキシリトールのタブレットもあります。歯磨き後のご褒美にする方法もあります。
5-1 歯ブラシの選び方
子供用の歯ブラシはどんなものを選べば良いのでしょうか。3つのポイントを下記のように挙げてみました。条件に合った歯ブラシの中で、子供に好きな歯ブラシを選ばせても良いですね。
・ヘッドが小さめもの
・グリップが握りやすいもの
・毛が柔らかくて、密集しているもの
5-2 歯磨き粉の選び方
子供の歯磨き粉は何でも良いわけではありません。選び方を間違えると、子供の歯を傷つけてしまうことになります。以下に気をつけた上で、子供の好きなフレーバーを選ぶと良いでしょう。
・永久歯が生えるまでは、「子供用歯磨き粉」を選ぶこと。
・「フッ素入り」の歯磨き粉を選ぶこと。
・「研磨剤」という成分が入っていない歯磨き粉を選ぶこと。
・泡立ちが良くない歯磨き粉を選ぶこと。
6.まとめ
子供に歯磨きを好きになってもらうことは、将来的に健康な歯を保つためにもとても大切なことです。歯磨きグッズなど子供が使うものは、可能な限り子供に選ばせてあげるなど、子供が楽しんで歯磨きをできる環境を整えてあげましょう。正しい歯磨きのやり方を知り、子供と楽しく歯磨きをしてみてくださいね。
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