前歯の虫歯はキレイに治したい!治療法や費用、きれいに治せるの?

前歯の虫歯はキレイに治したい!治療法や費用、きれいに治せるの?

前歯が虫歯になると、笑うことにも、話をすることにもネガティブになってしまいますよね? 奥歯と違って「誰からも見える場所」ですから、実用性だけでなく見た目にも気を遣わなければいけません。ただ治すのではなく、きれいに治すことが求められます。

こちらの記事では、前歯の虫歯治療における「一般的な治療方法」を解説することにしました。保険診療・自由診療それぞれの比較もしていますので、「自分にぴったりの治療法」が見つかるように、ぜひ参考にしてください。

この記事の目次

1.前歯にできた虫歯の治療について

まずは、前歯の一般的な虫歯治療について解説したいと思います。前歯の虫歯は、「歯と歯の隣接面」または「歯の根元」にできやすいという特徴があります。前歯は薄いので進行が早く、初期段階で治療を受けることが大切です。

1-1 前歯の虫歯の特徴

前歯は、歯の表面から神経までの距離がちかいので、虫歯を放っておくとすぐに神経に達してしまいます。また、歯が薄いので、歯の大部分を削らなくてはならない場合は、大きく削らなくてはなりません。

前歯以外の虫歯であれば、虫歯が軽いほうから「プラスチックの充填」、「詰め物(インレー)」、「かぶせ物(クラウン)」の3段階の治療の選択肢がありますが、前歯は薄いので「詰め物(インレー)」の治療ができないことも特徴です。

前歯_虫歯_治療の歯科治療イメージ

1-2 治療法と通院回数について

◆軽度の場合

◇軽く削ってプラスチック「レジン」で充填

軽度の虫歯であれば、削る部分が少なく済むので、「レジン」というプラスチックの修復物でなおしていきます。レジンは色が白いので歯の色にある程度近づけることができます。

◇通院回数

レジンの充填で済む場合、たいてい治療は1回で終わります。レジンは型を取る必要がないので、削って詰めるところまで1日で完了できます。

前歯_虫歯_治療の医院イメージ

◆重度の場合

大きい虫歯ができている場合は、歯の大部分を削らなくてはなりません。歯の根元だけを残しそれを土台にし、「かぶせ物」で修復します。

◇「根管治療」で歯の根っこを消毒

まず、虫歯を削り神経を取りのぞく「根管治療」をおこないます。

この治療は、虫歯におかされてしまった神経を取りのぞき、歯の根っこ部分をきれいに消毒して虫歯の再発を防ぐためにおこなわれます。「根管治療」のあと、土台をつくりそこにかぶせ物をします。

◇「かぶせ物」で修復する

かぶせ物は保険で作れるものから自由診療でつくるものまでさまざまです。

保険適用内でつくれるかぶせ物でも、表の見える部分に白いプラスチックを使用した目立たないかぶせ物で治療してもらうことができます。保険適用外では、より本物の歯に似た素材や、変色しにくく強度が強い素材を選ぶことができます。

◇通院回数

平均3~5回くらい通院が必要です。

「根管治療」では歯の内部の虫歯を取りのぞく治療に手間がかかります。虫歯の取りのこしがあれば、かぶせ物をした後に中で虫歯が再発してしまうリスクもあるため、丁寧におこなう必要があるので、一般的に2~4回の通院が必要です。虫歯が大きければ大きいほど、それだけ通院回数も増えます。

そのあと、かぶせ物をつくるために粘土で型を取り、つくってもらったかぶせ物を入れることまで考えると3回~5回ほど通院が必要になります。

1-3 治療中の『仮歯』の見た目について

前歯の治療は、基本的に裏側から削るので「正面に大きな穴があいた状態」にはなりません。

また、クラウンをかぶせる直前には歯の大部分を削りますが、このときは『仮歯』をつけてもらえます。

ただし、「周囲の歯との色合わせ」をしないので、人によっては色合いに違和感があるかもしれません。その場合、1週間程度は「マスクをつける」などの対処が必要です。仮歯は保険適用内でいれることが可能です。

1-4 費用について

治療費に関しても、軽度虫歯と重度虫歯では大きく変わってきます。当然、1回の通院で治療が完了する軽度虫歯のほうが経済的負担を抑えられます。

軽度虫歯の治療費

軽度の虫歯にレジンを詰めるだけなら、初診料・検査費用などを合わせても「1,500~2,500円」くらいに収まります。早くに治療を受ければ、時間的にも金銭的にも負担が軽くなるのです。

重度虫歯の治療費

クラウンをかぶせるまでの行程をすべて合わせると、前歯1本あたりの費用は「1万円~1万5,000円」くらいになります。

前歯_虫歯_治療の費用イメージ

2.素材ごとのメリット&デメリット

なるべくきれい目立たないようにしたいけど、具体的にはどのくらいお金がかかるんだろうか気になる方も多いと思います。そこで素材別にメリットとデメリットをまとめています。

2-1 コンポジットレジン

虫歯が小さい場合につかうプラスチックの素材です。

◆メリット

◇費用をおさえられる

上記のとおり、コンポジットレジンは保険診療で、費用をおさえることができます。あまりお金をかけずに治療を受けたい方にもおすすめです。

◇白い見た目

前歯の治療なので、見た目を気にしている人も多いと思います。レジンは白色なので、そんなに違和感はありません。前歯なら、保険診療でも白い素材を使ってくれるのです。

◆デメリット

◇耐久性が低い

保険診療で使うレジンは、あまり長持ちしません。硬いものを噛んだ拍子に外れることもあります。耐久性が低いので、「数年で外れるかも」と考えておきましょう。

◇経年劣化で変色

レジンは、少しずつ唾液を吸って変質する…という性質があります。長い年月が経つと、だんだん黄色っぽく変色します。

◇色のバリエーションが少ない

実は、色のバリエーションは約10種類しかありません。そのため、周りの歯と微妙な色の違いを感じる方もいらっしゃるかもしれません。

2-2.ダイレクトボンディング

ダイレクトボンディングの費用は、自由診療で5万円以内におさまることが多いです。治療方法はレジン充填と同じですが、穴に詰めるレジンの品質が高くなります。

◆メリット

◇耐久性が高い

素材自体はレジンなのですが、劣化しにくい素材です。保険のレジンより耐久性が高く、そう簡単には外れません。

◇変色しにくい

素材の性質上、経年劣化しにくくなっています。保険のレジンのように、すぐに黄色っぽくなる…という心配はありません。ただ、ずっと白いまま…というわけではなく、変色が遅いだけです。

◇色のバリエーションある

色のバリエーションがあるため、患者さん本人の歯と見分けがつかないような色合わせをしやすいです。外見重視の方におすすめです。

◆デメリット

◇保険診療よりは高額

やはり、保険診療に比べると、費用の高さが目立ちます。額面は、だいたい1万~5万円の範囲内です。保険のレジンなら1,500円くらいで済むことも多いので、10~30倍になる計算…。これでも自由診療としては控えめな価格帯ですが、保険診療との差は大きいです。

◇自由診療の素材としては劣化しやすい

自由診療の素材としては耐久性が高くありません。保険診療のレジンよりはずっと長持ちしますが、それでも経年劣化で摩耗・変色していきます。

2-3. 硬質レジン前装冠

保険適用内でつくれるかぶせ物です。表側がレジンで、裏側が金属でできている素材です。

◆メリット

◇硬質レジン前装冠

初診料・レントゲンなどを含めて、1万円~1万5,000円くらいになります。保険診療としては高い部類ですが、あくまでも3回ほど通院した総額です。1回に1万円も支払うわけではありません。

◇保険診療で受けられる

保険診療の中では高い部類…とはいうものの、自由診療よりは経済的負担をおさえられます。

◆デメリット

◇レジン部分が割れやすい

表側がレジンで裏側が金属…という構造なので、表側がもろいです。実際、数年で割れることも珍しくありません。

◇経年劣化で変色

レジンは少しずつ唾液を吸って、変色する性質があります。表側のレジンが長い期間のうちに黄色っぽく変色するので、ずっと自然な色合い…というわけではありません。

◇周囲の歯と同じ色にならない

白いとはいえ、自然の歯とは明らかに色合いが異なります。よく見れば、ほとんどの人は「本物の歯ではない」と気づくでしょう。

2-4 セラミッククラウン

保険適用にならないですが、とても性能が良いかぶせ物です。そのぶん、費用はかかります。

また、セラミッククラウンには、いくつかのバリエーションがあります。どれを選ぶかで費用は大きく変わり、治療総額で8万円~15万円くらいまで差が出ます。セラミックのバリエーションについては後述します。

◆メリット

◇機能性・見た目とも高品質

セラミック(陶器)のかぶせ物で、耐久性も高く、見た目もきれいです。周囲の歯と色合わせもできるので、自然な見た目を求める人におすすめです。

◇変色しにくい

経年劣化しにくい素材なので、長期間にわたって自然な白さをキープできます。ずっと自然な外見で…と考えている人にぴったりの素材です。

◇選択肢が多い

「どれくらいの見た目を望んでいるのか」「どれくらいの耐久性が必要なのか」など、個人のニーズに合わせて選びやすいです。

◆デメリット

◇自由診療の中でも費用は高め

総額が10万円を超えることも多く、自由診療としても費用は高めです。矯正やインプラントに比べればずっと費用負担をおさえられますが、虫歯治療としては高額だと思います。

◇安価なセラミックは劣化することも…

セラミックは経年劣化しにくい素材ですが、例外もあります。安価なセラミックの中に「ハイブリッドセラミック」というものがあり、これは劣化により変色します。値段だけでなく、「どの程度の見た目を望むのか」をしっかりと考える必要があります。

◆セラミッククラウンのバリエーション

それでは、セラミッククラウンの主なラインナップを紹介したいと思います。セラミック素材には複数の選択肢があり、「どの程度の耐久性・外見を求めるか」を選択することができます。主な選択肢には、次のようなものがあります。

ちなみに、セラミッククラウンは、ファイバーコアと呼ばれる自由診療の支台と組み合わせて使用するのが普通です。費用総額には、ファイバーコアの費用(1~2万円)を含めて考える必要があります。

ハイブリッドセラミックセラミックとレジンを混ぜた素材です。セラミックの中では価格が控えめですが、経年劣化で黄色っぽく変色します。また、セラミックとしては強度が低い部類です。費用相場は6万円程度なので、ファイバーコアと合わせて約8万円になります。
メタルボンド金属の外側にセラミックを焼きつけた素材です。芯は金属なので強度に優れますが、反面、透明感に欠けるので外見には劣ります。前歯よりは、強度が重視される奥歯に向いている素材です。費用相場は8万円なので、ファイバーコアと合計で約10万円になります。
オールセラミック全体がセラミックのクラウンです。光を透過するので、自然の歯と同じような外見を実現できます。プラスチックを使っていないので、経年劣化で変色することもありません。耐久性も高いですが、稀(まれ)に割れることがあります。費用相場は10万円なので、ファイバーコアと合算で約12万円です。
ジルコニアセラミック人工ダイヤモンド―ジルコニアを使ったセラミックです。透明感があり、外見的にも普通の歯とほとんど区別がつきません。加えて、高い強度・耐久性を誇り、そう簡単に割れることはないでしょう。費用相場は13万円なので、ファイバーコアとセットで約15万円です。

3.まとめ

前歯の治療は、機能性だけでなく「見た目をきれいにする」という需要が大きくなります。奥歯と比べて、自由診療を検討する人の割合も多くなるでしょう。「どれくらいの費用で、どれくらいの見た目を目指すのか」をよく考えて、歯医者さんとじっくり相談しながら決めていただければ幸いです。

飯田歯科医院_前歯_虫歯_治療

執筆者:歯科こえ 編集部

歯科こえでは、お口のトラブルをサポートする情報を掲載しています。読者の方々が抱える悩みや症状、その原因を解説し、治療方法なども記載しています。また、歯科こえコラムの全記事を歯科医師が監修しています。

前歯の虫歯はキレイに治したい!治療法や費用、きれいに治せるの? 2019-11-26T11:16:18+09:00
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