糸ようじ・デンタルフロスの正しい使い方と主な種類

糸ようじ・デンタルフロスの正しい使い方と主な種類

マウスケア関連のグッズはドラッグストアなどでいろいろと販売されています。その中でも糸ようじをはじめとするデンタルフロスを愛用している人も多くいます。

通常の歯ブラシを使ったブラッシングだけでは、歯と歯の隙間や歯と歯茎の間の食べかすを完全に取り除くのは難しいからです。ブラッシングだけでは不十分になりがちな個所のデンタルケアを行えるのが、糸ようじやデンタルフロスと呼ばれる商品です。

きちんとした使い方をしていないと、せっかく使っていても十分にデンタルケアができていない可能性もあります。正しい使い方を知ってしっかりケアしましょう。

この記事の目次

1. 糸ようじとは

1-1 小林製薬のオリジナル商品

糸ようじは商品ジャンルではなく、登録商標です。小林製薬が1987年から販売しているオリジナルの商品で、日本人の間で歯間清掃の習慣を作るきっかけになったとされます。

日本人はそれまで歯の間の食べかすは爪楊枝を使ってかき出すのが習慣づいていたので、デンタルフロスを歯科医師が推奨してもなかなか浸透しませんでした。

そこで小林製薬は、デンタルフロスに持ち手をつけてその先端に爪楊枝を取り付けました。日本人が使いやすいよう、爪楊枝とデンタルフロスを融合させたものが糸ようじなのです。

1-2  糸ようじの形状

小林製薬の糸ようじは、弓状になっているところにフロスが設けられており、反対側の持ち手の先端に爪楊枝のようなピックがついています。

フロス部分は6本のフロスが並んでいるのが特徴です。元々フロスは1本でしたが、より大量の歯垢を一気にかき出せるように改良されました。

1-3 糸ようじと歯ブラシの違い

歯ブラシの場合、ブラシが横に広がった形状をしています。歯の面を洗浄する時には効率的にきれいにできますが、歯と歯の間のような狭い隙間に入れることができません。歯と歯の間に食べかすが挟まってしまうと、歯ブラシで完璧に洗浄することは難しいです。

一方糸ようじは歯ブラシとは真逆で、狭い歯と歯の間や歯と歯茎の間の隙間に差し込むことが可能です。ただし、歯ブラシのように歯の表面を洗浄するのには不向きです。双方の特性から、デンタルケアには歯ブラシと糸ようじを併用するのが良いと言われています。

2.デンタルフロスの種類

2-1 T字型(Y字型)

糸ようじの商品ジャンルは「デンタルフロス」になります。デンタルフロスには糸ようじ以外にも様々な商品があり、まず持ち手のあるものとないものとに分類できます。

持ち手のあるものはさらに2種類に分類ができ、その中の一つにT字型(Y字型とも言われる)があります。T字型は奥歯のケアがしやすいという特徴があります。

デンタルフロスをこれから本格的に活用してみようと思っている初心者にはオススメのタイプです。

2-2 F字型

持ち手がついているもののもう一つの種類がF字型と呼ばれるものです。糸ようじはF字型に分類されます。

前歯の間の食べかすなどをかき出すときに使い勝手の良いタイプといえます。

一方で奥歯のケアをする時には、T字型と比較するとやや使いづらいところがあり、慣れが必要かもしれません。

2-3 糸巻きタイプ

デンタルフロスの中には、持ち手のない糸巻状のものもあります。糸巻タイプは、数十メートルのフロスが糸巻き状になっており、毎回使用する分を切り出して使います。

コンパクトサイズで持ち運びしやすい、使い捨てタイプのため、常にフロスが清潔であるのがメリットです。フロスを指に巻きつけて使用しますが、使い方には慣れがいるため、最初はF字型やT字型を使用するのがオススメです。

2-4 幼児用

幼児用のデンタルフロスは、大人用と比較すると小さめのサイズになっていて、子どもの口の中にも無理なく入れられるようにしてあります。

子どものデンタルケアにデンタルフロスを活用する方法は、欧米では当たり前になっており、歯科クリニックでも推奨されています。子どもに奥歯が生えてきたタイミングで使用するのがおすすめです。

3. 正しいデンタルフロスの使い方

3-1 歯と歯の間に入れる

デンタルフロスは歯間に挟まっている食べかすをかき出すものなので、まず歯と歯の間にフロスを入れる必要があります。

歯と歯の間が狭い人は一気に入れようとするのではなく、歯と歯の間にフロスを当てて、前後に細かくゆっくりと動かしながら少しずつ奥の方に入れていくようにします。

デンタルフロス

歯茎の中にデンタルフロスが少し隠れるくらいまで入ったところで、いずれかの歯に押し付けるような感じで、前後に動かして歯垢を擦り取っていくようなイメージで清掃します。

片方が終わったら、隣り合うもう片方の歯も同じ要領でケアしていきます。

3-2 力任せに行わない

デンタルフロスを歯の間に入れるときに、力任せに押し込もうとするのは危険です。強く押し込もうとすると歯茎にフロスが強くあたってしまうことがあります。その結果、歯茎を傷つけてしまったり、出血してしまったりすることもあるので、力を入れすぎず、ゆっくりと奥の方に入れていくように心がけましょう。

3-3 コンタクトポイントに注意

デンタルフロスを使用するときに、力任せに歯と歯の間に入れようとしないことと上述しましたが、特に注意しないといけないのは、コンタクトポイントにフロスを通す場合です。コンタクトポイントとは、歯と歯の接している部分のことです。

歯間が非常に狭いためフロスが通りにくくなっています。コンタクトポイントを抜けると歯間が広がっている場合が多く、勢い余って歯茎を傷つけてしまう可能性が高いので気をつけましょう。

3-4 デンタルフロスを行う回数

デンタルフロスは1日1回の頻度が良いとされています。これは歯垢を2日から3日も放置していると石灰化してしまうからです。そのまま歯石になってしまうと歯科クリニックで専用の器具を使って除去しなければなりません。

ちなみにデンタルフロスは、夜眠る前に行うのがおすすめです。実は日中は食事や会話をする中で唾液がたくさん出ますが、この唾液が歯垢や食べかすを洗い流してくれるのです。

しかし眠っているときは唾液の分泌は少なくなるので、歯垢や食べかすが上手く洗い流されず、歯石になってしまうリスクが高まります。眠る前の歯磨き後にデンタルフロスを使う習慣をつけると良いでしょう。

4. 糸巻きタイプの使い方

4-1 下準備 具体的な長さとは

糸巻タイプのデンタルフロスを使うのであれば、まず1回当たり40cm程度を目安にしましょう。指先から肘までの長さがおよそ40cmと言われているため参考にしてみてください。

4-2 指への巻き付け方

糸巻タイプのデンタルフロスは指に巻きつけて使用するのですが、中指に2、3回、フロスの先端を巻き付けます。両指に巻きつけたら、フロスを使っているときに指から脱落しないように確かめる意味で、一度糸をピンと張ってみましょう。

こうすると両手の間隔が10cmから15cm程度になるはずです。ちなみに女性の場合は10cm程度の長さが使いやすいので、指への巻き付け回数などで調節しましょう。

4-3 上の歯への使用方法

上の歯のケアをする場合、前歯であれば親指と人差し指を使って、上向きに糸を押さえます。奥歯で使用するのであれば、両手の人差し指で上向きに糸を押さえましょう。

そして両手の指をそれぞれ歯の内側と外側にセッティングします。その上で前後にゆっくりと小刻みに動かして歯の奥にフロスを入れていきます。

4-4 下の歯への使用方法

下の歯の場合前歯・奥歯共通で、両手の人差し指を使って、糸を下向きに押さえましょう。上の歯と同じく、両手の指をそれぞれ歯の外側と内側で挟み込むような感じでセッティングします。

そして前後にゆっくりとフロスを動かしながら、歯茎の下あたりまで沈めていきます。両方の歯ともに、上下に数回動かして歯の側面の付着している歯垢をかき出すような感じで掃除をしましょう。

5.まとめ

歯磨きにデンタルフロスを加えることで、よりしっかりとしたデンタルケアが自宅で行えるでしょう。ただしデンタルフロスを使う場合には、力任せに行わないことが大事です。

無理やり歯間にフロスを入れようとすると歯茎を傷つけてしまうからです。

執筆者:歯科こえ 編集部

歯科こえでは、お口のトラブルをサポートする情報を掲載しています。読者の方々が抱える悩みや症状、その原因を解説し、治療方法なども記載しています。また、歯科こえコラムの全記事を歯科医師が監修しています。

監修医 中村達哉先生

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大和駅前歯科

院長:中村 達哉

住所:神奈川県大和市大和南1-5-17 中村ビル1F
中村 達哉先生
糸ようじ・デンタルフロスの正しい使い方と主な種類 2019-09-25T12:23:00+09:00
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